ある日突然、足が無くなりました。

片足を失った雪山好きのサラリーマンが義足と共に復活。色々な話をノンフィクションでお届けします。

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ハーモニーシステムの紹介と義足業界の闇

タイトルの通り、義足情報を色々と投稿いたします。

まず、最近ottobockジャパンがやっと本気を出してくれました。
ページを製作した社員の方、本当にナイスです!!

以下のページは、僕が愛用している下腿義足の強制排気吸着懸垂システム「ハーモニー」の紹介ページです。
http://www.ottobock.co.jp/prosthetic_le/socketech/harmony/

尚、英語では"elevated vacuum system"と言います。
似たシステムにオズールのユニティもありますが、密閉方法(シーリング)が異なるだけで基本的に原理は同じです。
あとあまり流行ってませんがアメリカのウィローウッド社にもLim Logicっていう電動ポンプによる排気吸着システムがあります。
こちらは田沢製作所が代理店をやっているので気になる人はお問合せしてみてはいかがかと。

今までロッキングライナーによるピン懸垂や、オズールのシールインなど色々な懸垂システムを試しましたが、皮膚移植面積が多く、筋肉の欠損も激しい難断端の僕にはハーモニーの吸着システムが一番安心して使える装着方法でした。

ハーモニーの有用性がわかるように
ここで一応、それぞれの懸垂システムを紹介しておきます。

シャトルロック・ピン懸垂(各社それぞれ製品あり)
ピン式
良いところ:膝を曲げやすい、スリーブが不要、価格が安い
良くないところ:懸垂部分が断端末の1点であるため、回旋や上下動により皮膚へのストレスが起きやすい

ユニティ&シールインライナー(オズール社の専売特許)
ユニティ
良いところ:吸着するため、上下動や回旋が防止できて、かつスリーブレス
悪いところ:断端が短いと使えない。装着の際アルコールの吹き付けが必要。カスタムライナーの設定が無いため、断端の状態が悪い人には使えない。

ハーモニー(オットーボック社の専売特許)
ハーモニー
良いところ:吸着するため、上下動や回旋が防止できる。ポリウレタン製のカスタムライナーが抜群に高性能で断端に優しい。また強制排気によりソケット内を陰圧に保つ為、血流制御による断端の日内ボリューム変動を抑制できます。
悪いところ:スリーブが必要な為、夏が辛く汗まみれ。ライナーがシリコン製に比べて劣化が早い。

そして、僕の下腿義足はオットーボックとオズール、以下のように両方の技術をハイブリッドさせたものになります。

使用したオットーボックのテクノロジー
・6Y400カスタムライナー
(断端を直接採型し、個々の形状に合わせることが可能、さらに部分的に厚みも変えられる)
・ハーモニー専用の採型方法およびソケット製作技術
(専用の吸引手技採型+モデル修正方法など)
・吸着スリーブ

使用したオズールのテクノロジー
・排気バルブ
・ユニティ強制排気ポンプシステムおよび足部

そしてここから重要です。
このように他社の技術を融合するためにはどちらの部品特性にも精通した義肢装具士でなければ出来ないということです。
例えばソケットへのユニティ用排気バルブの埋め込み一つとっても経験値がなければ上手くできませんし、ハーモニーに至っては細やかな技術が必要となる為、オットーボックの公式セミナーを受けただけではうまくできず、経験値を要します。
これを可能にしてくれたのが、僕が依頼した義肢製作所は新潟の「P.Oコンセプト」の義肢装具士「荒木社長」です。

彼は下腿義足と大腿義足を合わせ、年間100本を製作するプロフェッショナルです。
この年間実施症例数を超える義肢装具士はおそらく日本にいません。
むしろいたら教えてください、お願いします。
彼は大腿義足のMASソケットの症例数も400を超えるため、昔、オットーボックドイツ本社に年収〇千万円でヘッドハンティングされてしまった「本物」です。
(金額はオットーボックのジャーマンジョークかもしれませんが)

日本でハーモニーカスタムライナーに精通しているのは彼しかいません。
これはオットーボック社に確認したことなので間違いありません。

ちなみにハーモニーもカスタムライナーも、どの切断者に対しても適応できる非常に優秀な技術であるにも拘わらず、日本では流行りませんでした。

理由は、まずハーモニーの製作にはセミナーを受け、ライセンス取得が必須だった為です。
それに加え、義足の認可を下す地方自治体の判定員が患者に対してこの部品の供給を認めなかった為。
今でも東京都庁の判定員はハーモニーポンプの支給を認めておらず、僕の友人は大変困っている現状です。
まぁその他にも業界の体たらくな部分とかいろいろありますが、それはここでは伏せておきます。

一方、新潟市では荒木社長の働きかけもあり、
ずーーっと前から認可されています。
義足を履きたければ住民票を写せってことでしょうかね。
おかしい、おかしすぎです。

本当に切断者のADLやQOLを尊重すれば、絶対に使うべき技術。
なのに使わない。使えない。
正に大人の事情ですね。

※尚、新潟市では荒木社長が市議まで巻き込んで猛烈に働きかけてC-legの支給を認可させたとご本人から聞きました。(嘘か本当かはご本人にご確認ください)そんな話を聞いて、プロの義肢装具士は、単に義肢装具を作るだけではなく、ユーザーを良いQOLに導くことなんだなぁと感動しました。僕がわざわざ東京から新潟へ義足を作りにいくのもそういう理由ですね。

【さらにここからリアルな話】

俺、ハーモニー試したけどってそんなに良くなかったよ!?
って人向けの話です。

えーまず、超大前提としまして、
ハーモニーは部品だけでなく「採型方法や使う道具、モデル修正から装着方法までぜーんぶひっくるめてハーモニーという製作概念」になってます。
開発者自身も「神は細部に宿る」と言ってるとか言わないとか。
それくらい細かなポイントを押さえる必要があると荒木社長もよく仰ってます。
マニュアルはこちら。
(日本語版はオットーボックのセミナー受けると貰えるようです)

で、僕が実際に経験した話として、
ハーモニーのポンプやスリーブなど、部品だけを使って「これがハーモニーだぜ!」などと勧めるにわか義肢装具士もいるのでお気をつけください。

反論覚悟で敢えて会社名を晒して実例を紹介します。
(実体験に基づいたことしか書いてないので名誉棄損にはなりませんよ)

荒木社長と出会う前、鉄道弘済会義肢装具サポートセンターで世話になっていた時、彼らからの提案で、ハーモニーを試作することがありました。
しかし彼らのにわか知識で作ったハーモニー義足は本当に酷い履き心地でした。
そのため、当時何も知らなかった僕は、荒木社長に出会うまでオットーボックやハーモニーに対する信用はずっと失墜してしまっていたのです。
オットーボックさんごめんなさい。

はっきりわかることは、彼らのハーモニーに対する理解は酷いものだったということです。
(鉄道弘済会はその他の点に関しても、技術力の低さや対応が酷すぎるので論外ですが)

これが「にわか」による悪影響です。
今までこのように勘違いされたままのユーザーもいるのではないでしょうか。

ハーモニーは最早10年前の技術です。
展開当初から正しく理解し、その有用性を信じ、切断者の為にと熱い思いで一人で運用し続けている荒木社長はすでに「ottobockジャパンの中の人」よりハーモニーに精通してます。
高額な専用冶具も彼しか持っていません。
その一方で、現状このハーモニーのライセンスは希望すればottobock様の好意で比較的簡単に取れてしまうそうで、僕はこれを問題視しており、先日オットーボックランニングクリニック2017の懇親会に参加した際も「ライセンス取得のセミナー講師は荒木さんに依頼すべきです」と強く提言してきました。(おそらくスルーされますが)

まぁつまり何が言いたいかというと、、、
現状、荒木社長と交流のない義肢装具士による「ハーモニー」は信用できません!
にわか知識の義肢装具士が作ったハーモニー義足で履き心地が悪くても、この記事の所為にしないでくださいね、ってことです(笑)
ただし、最近荒木社長に弟子入りを求める若手もいると聞きますので、将来変わるといいですね。




さて、下記の動画は、
実際に荒木社長が僕に行ったハーモニーの採型動画です。


そして今の、僕の義足はこんな感じです。
履くときは上からスリーブで密閉します。
gisoku2.png

義足とスキーブーツが重くて超しんどいですが、スキーもできます。


最後に。
義肢装具士は学校では本当に基礎的な事しか学べず、実用可能な技術は入社してからになります。
そのため、所属する会社や受けたセミナーの質によって、知識や技術の優劣が激しく変わります。

また、大手の義肢製作所は、自動的に病院から患者(お客さん)を紹介されるシステムが確立されているため、基本的に企業努力をしておらず、長年技術が停滞しています。

なので、個人開業した人のほうが引き出しの多さや対応含め、腕が良いことが多いです。

切断者はまずその前提があることを理解すべきです。
病院から紹介される義肢装具士を待つだけでは良い義足には出会えません。

インターネットやSNSを駆使し、実績のある義肢装具士を探すべきです。
業界に刺激を与え、自身のADL向上を図るためにも我々切断者自身が主体性を持つべきです。

そして僕は「パラリンピックの広報」や「義足で走れちゃうぜ」といったお花畑な情報より、こういった切実な事情を流布させる方がよっぽど大切だとマジで信じています。
健常者の目線だと「そんな闇は知ったこっちゃない」のかもしれませんね。

義肢装具士にも価格.comみたいに症例数や満足度でランキングがあればいいんですがね。
競争原理が働かない業界は共産主義と同じで失墜します。
でも何故かやらないんですよ、義肢協会はそういうのを。


ま、そんなわけで色々と書きました。
荒木社長はいつも仰っています。
「関係者には耳が痛い話ですが、背筋を正してくださいね」と。
余計なお世話か(笑)

僕は切断してからたった2年間で、鉄道弘済会、田沢製作所、川村義肢、オズール、そしてP.Oコンセプトで義足を製作してもらい、その本数は20本を超えています。
それでも荒木社長に出会うまでは適合する義足に出会えませんでした。
理由は一つ、外傷で受けた皮膚や筋肉の欠損が酷く、断端の状態が悪いからです。

もし切断者で困っていたり、情報共有を希望する方はぜひTwitterからご連絡ください。
僕が2年間で経験したありったけの情報をお伝えいたします。
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| 義足 | 00:09 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑

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チェアスキー

チェアスキー。
まさに技術の発展で進化した下肢不自由者の為のスポーツだ。

チェアスキー
引用元:さあ、崖っぷちからの大逆転へ!夏目堅司×RDS社【世界に1台の高速系マシン開発】Vol.1 前編

英語では sitski 座るスキー という。
つまり極端な話、健常者だって出来ちゃうわけだ。
おおざっぱに見れば、スノースクートなどとなんら変わらない雪上の乗り物に過ぎないのだ。
ガチャピン


しかし見て分かる通り、かなり高額そうなパーツが組み込まれている。
調べたら50万円近い。(参考:日進医療機器株式会社
普通の障害者には到底買えるものではない。
調べたところ、チェアスキー協会がレンタル(日本チェアスキー協会)しているようであるが、これでも少し高いと思う。

話が変わるが、SNSの知り合いにタカフィンさんという、チェアスキーでコブを滑り倒すフリースタイルな猛者がいる。




コブ動画はこちらをクリック!(Facebookページ)


彼はフリースキー界隈では名が知れ渡っているものの、全国的にはまだ知名度は低い。
しかし元々プロライダーであったことから、動画を見て分かる通り、凄い実力者である。
一方、海外ではチェアスキーでバックフリップを実現した人がいる。 名をJosh Dueck'sという。



日本人でもタカフィンさんならばチェアスキーでバックフリップすることも可能だと思う。
かなり見たい。
しかしきっとこれを実現するためにはスポンサーの力が必要だ。
加えて映像として残すためにも何人かのクルーが必要だろう。
政治家でも社長でもない、スポンサーできるだけの力がない自分の非力さが悔しいところだ。
しかし、いつかこの映像が日本で見られることを期待している。

最後に、スキーはどんな身体になろうとも人生を明るく照らしてくれる最高のスポーツだ。
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| 障害者スポーツ | 13:50 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑

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ある日突然(その6 無限ループ)

何か月も更新が滞ってしまいました。
最近初めて会った人から「ブログ書いてる人ですよね?」と言われ思い出しました。
改めて書籍化を目指して続きを書きたいと思います。(←おいおい)
続きが読みたい方はいいねとかシェアとか色々よろしくお願いします笑

さて、唐突ですが、皆さんはクスリとか麻薬をやったことありますか?
多分おそらく殆どの人はないと思います。私もありません。犯罪ですから笑
しかし今回、治療の過程で不本意ながらその体験をすることになってしまいました。

前回も書いたように集中治療室は二度と行きたくない生き地獄とも呼べる場所です。
常に強烈な痛みと吐き気と幻覚が私を支配しました。
入院中には辛くて何度も投身自殺を考えましたが、躊躇った理由は未遂に終わった時にまたここに戻るのが恐ろしかったからです。
強烈な痛みを伴う生き地獄ほど辛いものはないでしょう。
しかしその反面、勤務する看護師たちも慣れたもので、患者の状態に全く動じません。
ただ気になったのは年齢層がやたら若いことです。
やはり大変過酷な環境の為か、辞める人が多いそうです。
このあたりについては次回にでも書きましょう。

話はクスリに戻ります。
痛み止めに使われている薬は麻薬でした。
指定管理麻薬。一般人が所持していれば一発アウツのものです。
麻薬の副作用は半端じゃありません。
今思い出しても恐ろしいほどの吐き気と無限とも思える幻覚症状をよく覚えています。

麻薬がキマっているときの感覚として、わかりやすい画像があったので紹介します。

ぐにゃ2
 有名な某多重債務者(人間のクズ1)

ぐにゃ1
 知る人ぞ知る裏カジノ社長(人間のクズ2)


はい、まさにこんな感じです。

世界が歪む感覚ですね。
色合いとしてはこんな感じでした↓

eva.jpg
 庵野さん、続編はよ


グニャ~となっては、目が覚め、吐き気を催したかと思えば再びグニャ~となっての繰り返し、最初の数日間はこんなループが無限に続いていました。

またこの隔離された環境で耳に入ってくる音は複数の医療機器から発せられる電子音と埼玉ローカルFMラジオのNACK5だけでした。
特に、幻覚症状を語る上で忘れてはいけないのが、頭の中で永遠に鳴り響くNACK5のCMソング達です!
脳内に何度も何度も流れたこいつらを思い出さない日はありませんでした。





ガ~リガ~リ~くん♪ガ~リガ~リ~くん♪
ガリガリくん
https://youtu.be/Hh65VVBvVas






リフォームリフォームナカヤマ♪
ナカヤマ2
https://youtu.be/74JNg4x6iE4




コンビニでガリガリくんを見るたびに、
街中でナカヤマの看板を見るたびに、
この時の記憶が鮮明に思い出されるのは言うまでもありません。


次回 → 追加手術と更なる激痛
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| 切断日記 | 10:34 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑

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ある日突然(その5 この世とあの世の狭間)

(途中からの人用→その1その2その3その4

前回は義足話を挟んでしまったのでだいぶ間が空いてしまいました。
facebookでは結構多くの人にシェア頂いてありがたい限りです。

~受傷2日目~

さて前回、ドクターヘリに乗せられた僕はどこへ向かったのでしょうか。
正解は川越にある埼玉医科大学総合医療センターという病院です。

後で家族から聞いたのですが、関東ではこの病院もしくは帝京大学病院において「高度救命救急医療」が充実していて、僕のように酷い外傷があった場合はどちらかに搬送することになるそうです。
帝京医大のほうが自宅から遥かに近かったのですが、病床の空き状況と一刻も早い治療をしなければ足を失ってしまうという状況から、僕らに選択の余地はなく、遠方の埼玉医大に搬送されることになりました。

ここからはさらに辛い記憶を辿りながら書いていきたいと思います。

まずヘリポートに到着したあと、そのまま手術室に搬送され、すぐに全身麻酔で意識を失いました。
ここから10時間以上にも及ぶ大手術が繰り広げられたと聞いています。

次に目が覚めた時には、今まで感じなかった足への激痛を感じました。
なんと足に何本も金属が刺さっており、微動だにするだけで凄まじい激痛が走るのです。

ashi.jpeg
 ※イメージ(この写真は受傷1か月後)

さらにこれまで感じたことの無いほどのやばい吐き気を催していました。ものすごく強くてヤバい痛み止めが使われていた為です。
なのにも関わらず、喉はカラカラに乾いていて、最初に口にした言葉は

「みず・・・」

でした。

こんな状態では首以外、ほとんど力が入りません。
同時に身体の至るところに何かがついていて、不快感満載です。
身体にはいくつものセンサー、腕には点滴針、顔には酸素マスク、尿道にはカテーテルが入っていました。
また部屋の中には医療機器の電子音が鳴り響いていて、患者の気分を紛らわすためかラジオの音が聞こえました。

さっきまで麻薬漬けでラリパッパだった状態とは打って変わって、いうなれば「瀕死」の状態です。
それほどまでに長時間の手術による身体への負担というものは大きかったのだと思います。

そう、この場所は集中治療室。
ICUって呼ばれてる場所ですね。
僕はこの場所を「この世とあの世の狭間」と呼ぶことにしました。
毎日、数時間おきに生死の境目をさまようような人が運ばれる壮絶な場所だったからです。

そしてそういった状況を認識した直後から、永遠とも思える生き地獄が待ち受けていたのです。

続く。

次回 → 無限ループ
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| 切断日記 | 19:34 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑

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義足業界の問題点

深刻な問題
~義足業界の話~


現在、福祉制度における価格表の問題が依然として業界に立ちはだかっている。

義足の費用というものは、非常に高額だ。
私のように交通事故の被害者ならまだしも、病気や自損事故の人は国の福祉制度に頼らざるを得ないのだが、現状、義足を装着する部分(断端)に障害があるなどして、その適合の難易度が上がれば上がるほど、義肢装具士は損をする仕組みになっている。
厚生労働省の価格表はこちら PDF

kakaku2.png
  製作費用は一様に決まってしまっている。
  2時間で終わろうが50時間かかろうが変わらない。

ちなみに私の場合はB-4のKBM式なのだが、実際はもっとコストが掛かっている。
これが公平だとかどうとかの議論はここでは置いておく。
ただ資本主義の原則から考えて、
間違いなく義肢装具士のモチベーションとクオリティの低下に繋がるだろう。

一方で、一部の「義足アスリート」と呼ばれる義足ユーザーはその本人や担当義肢装具士の類まれない努力から輝かしい実績を残し、メディアへの露出を果たしている。


gisoku.png
 輝かしい義足アスリート達。うーん美しい。
 ちなみに中西麻耶選手にはリハビリ時に一度会ったことがあります。
 多分彼女は覚えていないだろうけど(笑)


誤解がないように言っておくが、彼らを非難するつもりはない。
しかしその他多くの切断者のADLは上がっているだろうか。

否。

今まで私は自分の目に見える範囲だけでも片手で数える以上の患者がその不十分な義足に絶望している様を目の当たりにしてきた。もちろん私もその一人だ。

現状、義足の適合が難しい場合の金銭的な負担はユーザー本人もしくはその担当する義肢装具士の努力でカバーされているケースが殆どなのだ。
ユーザー自身の資質ももちろん重要であるが、多くの場合、利益を無視して対応してくれる熱意ある義肢装具士に巡り合えるかどうかがポイントとなる。
でなければ、このような輝かしい結果には辿り着くことは難しいと言えよう。

業界の中には痛くてどうしようもない義足や常に断端に傷を負った状態で我慢して履き続けるユーザーもおり、それが当たり前だと洗脳するような医者や義肢装具士までいるから困りものである。

そんな洗脳は論外だとしても、熱意ある義肢装具士も利益を無視している以上は、限界はいずれやってくるだろう。

それゆえに義肢協会には一刻も早くこの問題解決に取り組んで頂きたい。
この問題は業界の活性化を阻害する要因となっており、最終的にその煽りを受けるのは当然、切断者なのだ。

事実、私自身も「赤字患者」として、いくつかの都内の製作所から迫害されてきた経験がある。

今は幸いにも新潟のとある義肢製作所の社長の好意により、逆オファーをいただき、「赤字覚悟」で付き合ってもらっており、一時的にスキーが出来るまでの適合を獲得することはできた。



が、しかし今後も日々の断端のメンテナンスや定期的な適合の見直し、ソケットの作り替えは必要であり、彼がいなくなったらきっと私は歩くことすらできなくなるだろう。

そして彼の寿命は私より早い。

自身の為は勿論ですが、現状義足に満足できていないすべての切断者のためにも、一刻も早い改善を願うばかりです。
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| 義足 | 03:14 | comments:0 | trackbacks(-) | TOP↑

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